レンタルDVDで、「夜と霧」という映画を見やした。
1956年に仏で製作された、アウシュビッツ収容所を記録した古いモノクロ映画でやんす。
この映画は見終わった後には、必ず、モノクロであったことに救われたという思いを抱くはずでやんす。
小さな子供が見たら、間違いなくトラウマになるので、お気を付け頂いた方がよござんす。
記録映像と静かな音楽と語りだけのたった30分の作品でやんすが、初めて見る方は、雷鳴に打たれたような衝撃を受けるに違いありやせん。
やつがれは小学生の頃にこれを見た覚えがありやすが、見た後は、心が空虚になって何も考えられなくなりやした。
どうやら、この映画には、ソ連の残虐行為のなすりつけや事実誤認も含まれているようで、全てがホントではないようでやんす。
でも、それは同じ人間の行った残虐行為という観点から見れば、そこに大した差異はありやせん。
やつがれは、その同じ人間の残虐行為を、同じ並列の存在である人間が公正に裁けるかと問われれば、決して首を縦に振ることができやせん。
もちろん、アウシュビッツを正当化する気など毛頭ありやせんが、誤解を恐れずに言えば、ナチスにも、彼らが信じる正義を貫いただけのことでやんす。
戦争なんて、結局は、お互いが絶対に認めあうことのできない、自分達が勝手に信ずる正義のぶつかり合いに過ぎやせん。
どちらの正義が正しいかなんてことは、戦争の勝ち負けで決められるものとも思えやせん。
一人一人が、お天道さまに顔向けのできない行為は決してすまいと未来に向かって誓うこと以外に、救いは見い出だせないのだと思いやす。
つまるところ、げに罪深きは人間の業、としか言うことができやせん。