今年も、井の頭線の下北沢近辺の車窓からの眺めに、
彩り鮮やかな紫陽花が、目に飛び込んでくるようになりやした。
紫陽花を観ると、昔、嫁と一緒に行った鎌倉の景色が蘇りやす。
丁度今頃の初夏、鎌倉に向かう横須賀線の中で喧嘩が始まり、
ついにヒートアップして円覚寺の境内で喧嘩別れ。
お若い方に、ひと言補足しておくと、その頃はまだ誰も、
携帯電話なんてモノは持ち合わせておりやせんでした。
お互いに見失って、横須賀線の線路脇を一人で虚ろに歩いた後、
明月院で再会し、いつの間にやら肩を並べて歩いておりやした。
やつがれにとって、紫陽花の花の色が複雑に見えるのは、
若かりし頃の甘酸っぱい喜怒哀楽が詰まってるからかもしれやせん。
といっても、もちろんのこと、紫陽花の色が複雑なのは、
青と赤とそのグラデーション色が混じり合っているからでやんす。
東京のホーム味スタのゴール裏も、アウェイサイドの方から見ると、
青と赤が混じり合い、なんとなく紫陽花を思い浮かべてしまいやす。
やつがれは、井の頭線から紫陽花を眺めるたびに思いやす。
東京がクラブの花を定めるとしたら、紫陽花しかないな、と。