青赤亭ギョタ郎@下高井戸のブログ

FC東京をこよなく愛し、心から応援するブログ

バロンチット86

流行りモンにのっかるのが江戸っ子の悪いサガでやんして、
ウイルス性の胃腸炎を貰っちまいました。
月曜日早退してから本日水曜の昼過ぎまで、
固形物は何も喉を通らず、アクエリアスのみで生きておりやす。

最初40度以上あった高熱もいまは平熱近くまで下がり、
身体中の痛みも治まってくれたので、やっとPCに向えておりやす。
皆さま、くれぐれもお気をつけなすって。

さて、年をとったせいか、涙腺がとてもゆるんできております。

月曜日早退の道すがら買ったエルゴラ(525号)に、やっと目を通しました。
いとうやまねさんのコラム「世界サッカーの風景」のエピソードを紹介します。

「サッカーを愛するメキシコのアルベルトさんの少年時代、
 家にゆとりが無く靴を買ってもらえないため、なかなか試合に出してもらえない。
 それを見かねた父上が、たぶんなけなしの自分の小遣いで、
 露店で一番安い、アディダスのぱちもん、その名も、
 『バロン(=ボール)チット(=ちっちゃな)86(メキシコW杯の年)』。
 という名の靴を買ってきてくれたそうです。

 アルベルト少年、バロンチットを手にし(といっても足に履き)、
 試合に出られることになり、試合会場に天にも昇る気分で出かけました。
 ところが、なんと大雨になってしまい、ちゃんとした革でないパロンチットは、
 一遍でポロポロに破け散ったそうです。
 帰り道ボロボロの靴のまま家に帰って、涙ながらに投げ捨てたんだそうです。

 それを見た父上、そんな靴しか買ってやれない悔しさ悲しさで、
 胸が一杯になったんでしょう。一ヶ月後、なんとか遣り繰りして、
 ブランド品をプレゼントしてくれたんだそうです。」

靴なんかないのと同じ状態でプレイしている息子の姿を思い浮かべた
父上の心情を思うと、やつがれはもう駄目なんです。涙ボロボロなんです。

どこの家でもたいてい、生活必需品は母親が買ってくれます。
母親から見れば金を捨ててるように見える出費でも、
例えば、絶対当たらないお祭りのクジ代やプラモデル代なんざぁ、
子供の頃同じようにわくわくした父親でなきゃ、理解してあげられないんです。
だからなんとか工面しても買ってあげようと思うもんなんです。

やつがれも子供の頃、父親に109ができる前にあった恋文横丁に連れられて、
ごちゃごちゃあるいろんな店のひとつ、商品を壁に掛けて売ってた露天ぽい店で、
わくわくしながら、初めてグローブとバットを買ってもらったことが忘れられません。

大人しい愚息が小学校低学年の頃、友達とひと悶着起こしたそうです。
愚息のカンタベリーのジャケットに、友達がマジックでイタズラ書きしたそうで、
それに対して愚息が烈火のごとく怒って向かっていったそうです。
普段と違ってなんでそんなに怒ったのか担任の先生が聞いたら、愚息が、
それはパパがプレゼントしてくれた特別なやつなんだって言ったそうです。
母親も担任の先生もは、手を上げちゃ駄目だと教えてください。
でも、やつがれにしたら、よくやったと拍手するしかないじゃありませんか。

それが父と息子の絆なんです。