あめの日の閑話 五拾壱

雨が降ると冬に逆戻りの、身体につらい日々でやんす。

今朝もいつものように井の頭線に乗りやしたら、駒場東大前の手前、
駒場野公園の前の踏み切りで、信号待ちでしばらく動かなくなりやした。

出掛けに中学生の息子の後ろ姿を見たせいか、
自身の中学生時代の通学の思い出が脳裏に甦ってまいりやした。

当時も、その踏み切りは開かずの踏み切りで、
毎朝、授業の開始に間に合うかどうかの瀬戸際で通りかかるところでやんした。

いつも意地悪するかのように、目の前で止まってしまう電車を、
うらめしそうに見上げていたもんでやんす。

あれから３０年も経って、同じ場所に、同じぐらいの時間で、
通りかかっていること自分がいることに気付いて、感慨にひたってしまいやした。

都会でも、昔の面影など消し飛んでしまった場所もあれば、
３０年経ってもほとんど変わらない場所があるもんでやんす。

そんな場所で同じ風景を見ていた頃というのが、
つい昨日のようにも感じられるのが、とても不思議な感じがいたしやした。