青赤亭ギョタ郎@下高井戸のブログ

FC東京をこよなく愛し、心から応援するブログ

あめの日の閑話 拾参

月曜に雨が重なるってえと、相変わらず遅延して混乱している明大前の改札を抜けて、
やつがれは渋谷行の井の頭線に乗り込みやす。

最後のフクアリで、ことしの東京は実り多き秋だったと回顧できれば良いなぁなどと、
つらつらと考えながら、押し合いへし合いの人の重圧に揉まれているわけでやんす。

電車が駒場東大前に差し掛かる手前、駒場野公園の横にちっぽけな田んぼがありやして、
今朝そちらをなにげに見たら、毎秋恒例の色とりどりの案山子が並んでおりやした。

実はこの田んぼには名前があって、「ケルネル田圃(たんぼ)」と呼ばれておりやす。

明治時代、ドイツから招聘された農学者のオスカル・ケルネル氏が実習に使用していたため、
氏の名前を冠してそう呼ばれるようになりやした。

やつがれの出身校では、毎年入学式で新入生に赤飯が配られやす。

その赤飯を食べた新入生が、技術の授業の実習として、ケルネル田圃に田植えをして、
翌年の新入生に贈る赤飯の米を育てるという形で、伝統が継承されておりやした。

やつがれもこのケルネル田圃で、ヒル対策として要らない靴下だけ履いて、
足がズボズボ沈み込む感じを楽しみながら、田植えをした思い出がありやす。

案山子は、やつがれの在校時に見なかったのでよくは知りやせんが、どうやら、
地元の農協と商店街の方による「かかしコンクール」の作品展示のようでやんす。

最近は力作も多く、荒川静香さんが金メダルを取った年の「コマバウアー」というかかしは、
展示期間後も作成者の米屋さんの前で飾られていたのを見て、いっかりと記憶に残っておりやす。

この田圃の案山子の光景も、都会にありながらの牧歌的な風物詩として定着した感があって、
東京を故郷とする者には、嬉しいかぎりでやんす。