青赤亭ギョタ郎@下高井戸のブログ

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忘れられていたペリリュー島の戦いに思う

昨晩のNHKスペシャル
「狂気の戦場ペリリュー "忘れられた島"の記録」を観やした。

ペリリューとは、パラオ諸島の小島の名前で、
「地球最後の楽園」と呼ばれるほど、サンゴ礁が美しい島でやんす。

その小島で、70年前に日米両軍が死闘を繰り広げられやした。

当初米軍は、フィリピン進攻の足掛かりとなる戦闘機の拠点として、
3日で陥落させる見込みで乗り込んできやした。

しかし、日本軍がそれまでの玉砕戦法を翻し、山に洞窟を掘って潜み、
徹底抗戦の持久戦に方針を転換したため、戦闘は2ヵ月半に及びやした。

この日本軍の方向転換した、いわばゲリラ戦のような戦い方が、
後の硫黄島での闘い方の原型となったわけでやんす。

結局、日本軍は1万人の守備隊が壊滅、米海兵隊は2万人で占領すれど、
最精鋭部隊の死傷率は史上最悪の60%という結果で終結いたしやした。

海兵隊は封印したい記録であり、米軍自体はペリリュー島なしで、
フィリピンを落とせたため、「忘れられた戦場」となりやした。

今年、その「忘れられた戦場」で撮影された記録フィルム113本が、
米軍の保管庫で見つかり、その存在が明らかになったわけでやんす。

今回、NHKが発掘されたフィルムを、91歳の米海兵隊撮影部隊の者や、
生き残っている日米元兵士の証言を加えた番組を作ったわけでやんす。

確かに、狂気に満ちた戦場の悲惨さを伝える作品ではありやした。

ただ、NHKでは、幾ら作っても、あくまで教科書的な枠を超えられず、
これが限界だと思ったのも事実でやんす。

たまたま、「ゆきゆきて神軍」を観た後ということはありやすが、
戦争の悲惨さを伝える手法は、NHKスペシャルではもう甘過ぎやす。

やつがれが知りたいのは、もっと突っ込んだ真実。

食料庫を奪われてからの2ヵ月半、山の洞窟に立てこもった日本兵が、
何を食って生き延びられていたのか。

木の根っこや蛇やら虫ならまだ良いけれど、
山の洞窟の中で、それさえ無いとしたら、人は何を口にしていたのか。

そんな条件下で、上下の統率関係を含めた軍隊としての規律が、
最後まで保たれるようなことが、本当に可能だったのか。

最後まで生き延びた34名の日本兵は、戦闘能力がずば抜けていて、
日頃からの鍛錬で屈強な肉体を持っていたから生き延びられたのか。

それとも、ずる賢い悪知恵をめぐらし、善意の仲間を生贄に差し出して、
前線から遠いところに身を置く狡猾さを持っていたからなのか。

最後の最後に敵に見つかって窮したときに、何も抵抗することなく、
敵に向かって命乞いをしたから、生きて戻れることができたのか。

200名ほどの捕虜は、本当に負傷して捉えられた者だけなのか。
仲間の目を盗み、戦闘意欲が無いことを示して投降した者はいないのか。

まもなく、戦場経験者から事実を聞き出すことが不可能になりやす。

その前に核心部分を引き出す、報道の良心の発現に期待いたしやす。