青赤亭ギョタ郎@下高井戸のブログ

FC東京をこよなく愛し、心から応援するブログ

第20回 多摩川クラシコ

この日が来ると僕は悲しくなる。

いつもは可愛い目をしたアイツが、とんでもなく陰険な目つきに変わって、
これ以上ない悪者のような顔になって、僕を睨んでくるんだ。

それを見ると、僕の身体の内側から何か得体の知れないものが膨らんできて、
僕は、苦しくて苦しくて、どうしようもなくなってしまう。

しまいに、僕の身体の殻が弾け飛んでしまったような感覚を覚えて、
その瞬間、余りの苦しさに僕は意識を失ってしまう。

そして気が付くと、僕は自分が一体誰なのか判らないぐらいに変貌し、
アイツと同じ目つきになって、睨んで立ってるんだ。

それを見て安堵したかのようにアイツが、薄笑みを浮かべて、
僕に突進してくる。

そう、僕は戦うしかないんだ。
これが、僕の身体に植え付けられた宿命なんだ。

僕の頭の中からは、普段はアイツとじゃれ合ってることなんか吹っ飛んで、
嬉々として戦いの渦に飛び込み、そして思う。

アイツにだけは負けられない。
何があっても、アイツにだけは負けられない。

その思いだけで、僕とアイツは何度も死闘をくりひろげてきた。

死闘が終わると、僕の体からふっと何かが抜け出て、僕は僕に戻る。
アイツも、いつものアイツになっている。

何で戦うかは判らないけれど、僕はそのたびに、
自分の内なる何かが、少しずつ大きくなっていることに気付くんだ。

だから僕は、最近では、悲しみだけではなく、
誇りを持ってこの日を迎えることができるようになったんだ。

僕は理解したんだ。
これが大人になっていくってことなんだ、と。

だって、父さんが言ってたんだ。

戦い方を知らずに、大人にはなれない、って。
戦い方を知らずに、大切なものは守れない、って。

僕はいつか大切なものを見つける日のために、今日を迎えてるんだ。

だから今日は、絶対に負けられない。

2012.9.22
                       東京ドロンパ