はだしのゲンの騒動で、またもやの思いで言いたいのは、閲覧制限なんて本質的に間違っているということでやんす。
子供に見せたくないことを隠すのではなく、ちゃんと正視させて、その意味を多面的に考えられるよう教えてあげるのが大人の役目ってもんでやんす。
なんだか、抗菌、抗菌とやっきになって清潔な無菌環境を作ったお陰で逆に、我が子を耐性の無いひ弱な身体にさせてしまうのと似ておりやす。
確かに、ゲンには、子供がショックを受けそうな残酷なシーンが含まれておりやす。
世界的には、かなり規律正しい集団だった日本軍だって、残虐行為を全くくしなかったなんてことはないでしょう。
また、母親が娘さんに見せたくないシーンだって、きっと起こったことでしょう。
何故なら、戦争中の世の中では、それが当たり前の日常となるのですから…
そのようなことを実体験せずに知ることで、二度と戦争を起こしてはならないという強い思いが醸成されるならば、良識ある大人になるための通過儀礼と言っても過言ではないでしょう。
戦時下では、平常時の論理で、誰が何をしたから良い悪いといった論議は通用いたしやせん。
国籍、人種、性別に関係なく、理性が失われた人が、どんなに残酷なことをしても、ちっとも不思議じゃありやせん。
良識や理性が無いことが標準となった世界での罪業を、平和の世の我々の基準で裁けるわけもありやせん。
そこで起こったことをとやかく言うより、憎むべきは戦争でやんす。
戦争を無くすには、絶対に戦争は起こしてはいけないという、一人一人の自覚を育てること以外に、方法はありやせん。
きっと、その思い一心で描き上げた「はだしのゲン」の作者の願いを、真っすぐに受け止められないのでは、やつがれには、本質的に間違っているとしか思えないわけでやんす。
戦争の痛みを、風化させてはいけやせん。