青赤亭ギョタ郎@下高井戸のブログ

FC東京をこよなく愛し、心から応援するブログ

あめの日の閑話 四拾参

昨晩遅くNHKで放映されてたスポーツ大陸が、
ふと目に入り、途中からでやんしたが、ついつい見入ってしまいやした。

内容は、日本が金メダルを獲った長野オリンピックジャンプ団体の裏話。

1本目の失敗ジャンプのあと、2本目に大ジャンプを見せて、優勝を決めた後、
差し出されたマイクに「俺じゃないよ…、俺じゃないよ…」とむせび泣く原田選手。

余りに印象的で忘れられない名シーン。

原田は一本目は失敗ジャンプだが、それは急に前も見えない吹雪となり、
ジャンプ台に降り積もった雪のせいでスピードが出なかったのが、原因。

それを見ていた仲間の選手達も、何で原田のときに不運が訪れるかと嘆く。

吹雪は強くなり、ついに1本目終了時に中断。
もし再開の目途が立たなければ、その時点の4位で確定となる日本。

再開を判定する審判は、偶々その時点の1位から3位の国と4位の日本の四ヶ国。
なんとか再開したい日本の説得に、テストジャンプの結果を見て決めることに。

26人のテストジャンパーの中には、選ばれなかった悔しさを内心に隠しながら、
ジャンプ台に立っている者もいる。

選手達が、そのテストジャンパー達に声を掛ける。
なんとか再開させてくれ。

そこで始めて、テストジャンパー達は、
自分達のジャンプの出来に日本のメダルが掛かっている状況を知る。

そして、メダル獲得を信じて駆けつけた日本人の大観衆の応援を前に、
期せずして、自分達のジャンプが重大な使命を負ったことを自覚する。

絶対に失敗は許されない。絶対に転倒することは許されない。
降り積もった雪を踏み固めるため、間髪を入れずに次々と飛び出す。

最後の選手同等クラスという位置付けのテストジャンプを務めるのは、
一つ前のリレハンメルでは団体選手の一員だった西片氏。

自分が成功すれば再開されるという一本は、
失敗しても自分一人で責任を負っていた選手時代より、ずっと重い一本。

西片氏はこの重圧を、見事にK点超えで跳ね除けてみせる。

テストジャンパー26人が成功ジャンプで繋いでみせた結果、
ライバル国の審判も再開に応じないわけにはいかなくなる。

テストジャンパー26人と選手4人の心がひとつとなった日本の2本目。
日本は見違えるような素晴らしいジャンプの連続で、金メダルを獲得。

そこで、冒頭の原田のせりふ。「俺じゃないよ…、俺じゃないよ…」

そこまで知って聞いたら、たまらないね。