献杯

昨晩の祝宴用の酒を仕入れに、いつもの山下の酒屋さんに出向いたら、
多くの酒壜が棚から落ちて割れたせいで、まだ酒臭さが残っておりやした。

人的被害が無かったのは何よりでやんすが、
店主が、被災の中心地である宮城の酒蔵さんの被災状況を教えてくれやした。

墨廼江酒造さんは、蔵が水没して壊滅的としか判らず、
伯楽星の新澤酒造店さんは、蔵が壊滅的で貯蔵庫の商品も全滅らしいでやんす。

酒をチョイスするため、冷蔵庫の中を覗いたら、
伯楽星の純米大吟醸の生があったので、すぐにそれに決めやした。

これが、またなんとも旨い。

飲み口が柔らかく、透明な水かと思わせた後から、甘いまでの米の旨みが広がり、
絶妙なバランスで果実香と酸味が膨らんでいき、最後にまた、ほのかな甘みが残る。

とにかく、日本酒が全く知らない人も、必ず一口で判る芸術的な逸品。

真面目に旨いものづくりに取り組む酒蔵さん達の一日も早い復興を願って、
ありがたく味あわせて頂きやした。